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経営者支援 ITコーディネート業務効率化システム構築

執筆者の写真清水 尚志

IoT関連のセミナーに参加しました。

11月は、IoTとAIのセミナーが沢山開催されて、私も沢山参加しました。IoTは先進的な取り組みではありますが、すでに多くの企業が取り組み成果を上げていることを知りました。


IoTと呼ばれる技術(取組)には、2種類あると思います。それは、工場の生産設備をオンラインで結び、様々な情報を収集して効率を上げるものと、今まではネットに繋ぎたくても繋げない物(例えば電気メータやセンサーなど)をつないで業務の合理化と情報の利活用を推進するののです。


私は、多くの生産現場では、ロボットや コンピュータによる数値制御(Numerically Control=NC)を活用して合理化が進んでいるイメージがありましたが、確かに「生産」という部分に対する技術革新や投資は進んでいるが、そこから生まれる「情報」の利活用が遅れていると思いました。


その原因は、伝統的に「より早く」「より正確」など工作機械の単体性能の向上を求めいて、逆に「効率的に機械を連携させる」「機械の停止時間を短くする」「効果的な段取りを見つける」など、ソフトの領域は、未踏のままであったと言えます。


近年、「働き方改革」が叫ばれ、労働生産性向上が至上命題になったいますが、従来的なハードの進歩では限界があり、ソフト面での対応が不可欠であると認識し始めたようです。


飯山精機株式会社では、既存の稼働状況ランプ(赤黄緑で状況を知らせるランプ)にセンサーを付けて、製造装置の稼働状況を見える化することで、段取りの効率化を達成しました。



賀谷セロファン株式会社も同様に、検査装置から出力される情報を収集して、稼働状況を見える化しました。

また、バーコードを活用して、材料や製品を個体管理することにより、作業の正確性を格段に高め、副次的な効果として、営業が作業の進捗を出先で確認できるようになり、顧客対応力がアップした点も評価されているそうです。

また、工程毎の所要時間の測定を現場の手間をかけないように、工程ごとにPCを導入。簡単な操作で作業状況の登録、きめ細やかな作業状況の把握が可能となりまた。


両者とも、既存の生産ラインにセンサーを設置したり、作業の開始・終了を入力する端末を設置したり、作業指示のペーパレス化を進めたりすることで、合理化や生産性向上を達成しました。


別の「IoT関連投資における知財の活用事例」ですが、中日本炉工業株式会社のIoTの事例が発表されました。このメーカーでは焼き入れ・焼きなましの炉を製造販売を行うと同時に、加工も行っており、短納期、多品種、少量受注が特徴です。

恒常的な残業をなんとかしたい、との思いから、受注伝票の電子化(タブレット化)から始まり、炉の状況データをオンラインで収集、加工し、最適な段取りを自動作成しているそうです。これにより、稼働炉を有効活用することで稼働率を上げ、電気代が約10%、社員の残業も半減したそうです。今後は、収集したデータから、AIを使って故障個所の事前把握や、品質向上に役立てたいと言っていました。

また、熟練工の技を数値化して蓄えることにより、新人の即戦力化にも役立ててゆくそうです。


もう一つのIoT分野である「センサーを繋げる」では、農業のIoTに取り組んでいる企業の紹介がありました。

水田では、水管理が収量や品質に大きな影響があります。しかし、近年、農業の後継者問題から、農業法人が管理する水田が千枚を超える会社も現れ、水管理を行う人材確保に頭を痛めているそうです。

そこで、水田の水位・水温を定期的にクラウドにアップし、適切な水門開閉を行う取り組みです。実際に稼働させてみると、理論通りにいかない難しさがあります。野外で情報を収集する難しさ、センサーの精度維持のためのメンテナンスの問題や、電池の持ちなど課題が山積してますが、近い将来解決するでしょう。

中日本炉工業の熟練工の技術も、長年農作業に従事したお年寄りの「感」も、気象情報や気圧、水温、水位などのデータを集積したビックデータをAIで分析すれば、ノウハウの見える化ができ、産業として成長すると思います。


IoTが近年注目を浴びていますが、ずいぶん昔から、IoT的な考え方が存在していたと思います。つまり、「全ての事象をデータ化して分析して役立てる」サイクルが重要なのです。

例えば、ペーパレスも同じです。紙というアナログな媒体を使用している限り、事務の合理化は進みません。

しかし、おかしなことに、日本では、いまだにファックスがビジネスの第一線で頑張っていますが、あれほど無駄なものはないと思います。「ワープロ(D)→印刷(A)→FAX(D)→印刷(A)→エクセル(D)」とデジタルとアナログを何度も変換されていて、そのたび人間の作業が入る。そんな無駄な仕組を使い続けることを不思議に感じないし、だれも問題視しないことが、日本の工業のデジタル化を遅らせている要因だとおもいます。


これらのIoTの先進事例は、合理化を手抜きと勘違いしている経営者が、徐々に「人手の掛からない方法を真剣に考え始めている」と感じ、これから様々な分野でIoTが発展するのが楽しみになりました。



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