7月31日(金)に椿経友会の月例講演会で、「牧野知弘」先生の講演を拝聴してきました。先生は、不動産のプロとして数々の著書を執筆されていると同時に、「全国渡り鳥生活倶楽部」という、新しい不動産活用のスキームを作られ、現在、精力的に普及に努めておいでます。
私は、ここ最近は「どうして東京や大阪など大都会に人は集まるのか?」と疑問に思いっていました。確かに、交通事情が悪く、コミュニケーション手段も限られている中では、「人を集めて仕事をする」という方法は、大変に効率的であったと思います。
しかし、ここ数年は、高速インターネットの普及やクラウドサービスの普及により、「コミュニケーション、イコール、会って話す」という時代では無くなったと考えます。しかし、多くの会社は、惰性的に昔の慣習に流されています。
そこに「コロナ禍」の発生です。「3密」を避けろと急に言われても、「判子はどうする」「ミーティングはどうする」「仕事の指示はどうする」など、従来型の思考、習慣から離れられない企業は右往左往しています。
一方では、「働き方改革」は「生産性向上」が肝であり、そのために準備していた企業は、テレワークの移行など簡単に実現できました。ただ、そんな先進的な会社でも、テレワークによる生産性の低下を恐れて全社的な適用を見送っていたのですが、コロナ禍が背中を押してくれ、なかば強制的に実施させられた結果、杞憂であることが、図らずも証明されたのです。このトレンドはもう元には帰りませんし、この流れに乗らない、いや、乗れない企業は淘汰されてゆくでしょう。
私の仕事柄、「では、どんなシステムが有効か?」と論を進めるところですが、本日の本題である、牧野先生が提唱する「Withコロナ後の街の在り方」について書きたいと思います。
私も知らなかったのですが、野々市町は日本一住みやすい街に選ばれていたのです。
東洋経済オンラインの調査結果です。一位に「野々市市」が輝き、なんと、トップテンの半分が石川県です。ちょっと驚きです。
本題に戻ります。Withコロナ時代は、群れる事を禁止される社会となります。つまり、大都会はもはや過去の遺物になる可能性が高いのです。確かに、人と人が直接対面してサービス提供しなければならない業種もあります。しかし、多くの仕事は、個人の能力から生まれる「価値」がどれだけ企業に貢献するかが問われる仕事なので、同じ空間に「居る」ことが要件ではなくなります。
企業も、その点に気づき始めました。人を集めないのなら、「大きな本社ビルやサテライトオフィースはもういらない」となり、現実、賃貸オフィースの解約は増えています。また、出張で東京へ行く機会も激減するでしょう。
私が過去所属していた会社では、毎週のように全国に散らばっている幹部の方々が何らかの打ち合わせの為に本社に集まって来ていました。
しかし、社長の指示で「働き方改革の一環」として、テレビ会議システムを導入したのです。その結果、交通費が大幅に節減されましたが、それよりも、ミーティングを簡単にセッティングでいるため、コミュニケーションの頻度が高まり、情報共有や意思決定の迅速化を図ることができました。
また、幹部の方々の移動時間が削減できたことも大きなメリットでした。
この現実が、不動産や街づくりにどのようなインパクトを生むか?が本日のメインテーマです。
テレワークにより、①通勤時間が激減する②自宅が仕事場になる③余った時間は地元で過ごす④地域コミュニティーが重要になる⑤その結果、地方の価値が上がり、逆に都市の価値が下がる。
ということです。そして、「住みやすい街に人口が集中する。」ということです。住みやすい街とは、インフラや環境のバランスが良い街です。ランキングを見ても、一目瞭然です。これからは、コモンスペースの充実や自然と都会の調和、くつろぎなどを行政と住民が力を合わせて街を大切に育てることで、より人間的な生活を送れる環境になるということです。
最後に、「全国渡り鳥生活倶楽部」についてお話されました。
「全国渡り鳥生活倶楽部」は、簡単にいうと、利用されていない不動産を、「全国渡り鳥生活倶楽部」のメンバーでシェアーしましょうというプロジェクトです。しかし、単にシェアーするのではなく、貸す側の行政や地域、企業の要望と、借りる側のニーズを上手にマッチングして付加価値を創造し、WinWinの関係を築きましょうという趣旨です。もともと空き家対策から始まった発想ですが、面白い取り組みだなと感じました。ホームページのリンクを張っておきますので、興味があれば見てみてください。
最後に、石川県が全国的に住みやすい街として認知できてよかったとおもいました。また、そんな街をもっと良くして行くには、何ができるか考える良いきっかけを作っていただいた1時間でした。
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