「IT経営の成熟度」とは一言でいうと、「身の丈に合ったITの導入を目指しましょう」という事です。
ITベンダーが企業のトップと面談して、お困り事を聴取したとします。その後、ITベンダーは、そのお困り事を解決する方法(ソリューションと呼ばれる場合が多い)を提案してきます。
多くの場合、「提案」は、ITベンダーが担いでいる「パッケージ」の場合が多く、その提案書には、できることのオンパレード。その結果、企業のトップの夢が広がります。
早速、部下に「○○パッケージを導入するので対応するように」を指示を出します。
部下は、パッケージの機能と実務とのフィット&ギャップを評価するのですが、パッケージが求める情報は高度で精緻で、とても現在の自社内には存在しないものばかりです。
でも、社長はシステム導入を決心しています。だから、現場は、何としても動かす事に専念します。
そして、運用を開始してみると……
大きなシステムから、小型案件まで「あるある」ではないでしょうか。つまり、パッケージは、ある程度環境が整っていたり、逆に、パッケージに全て合わせたりしなければ機能しないという事です。
また、仮に環境が揃っていたとしても、機能を使いこなせないケースもあります。「導入後に調整が必要です」と言われていたのは事実ですが、実際に欲しい情報を得ようとすると自社内の人材では手に負えず、外注する羽目に。想定以上のコストが掛かってしまうケースもあります。
システムに求められる機能は、業務の中にあります。過去の企業文化を捨てて、全てパッケージに合わせる場合を除いて、決してシステムが業務改善を達成してくれません。局所的なIT化は、かえって混乱を招く結果になる場合が多いのです。
まずは、経営者がどのような経営課題を認識し、どうありたいか具体的なビジョンを描いて、経営戦略を策定。その経営戦略を実行するためにの「業務改革プロセス」に沿った「IT戦略」を策定し、全体最適化を図りながらIT環境を実装してゆく。そうすることで、徐々にIT経営の成熟度が上がってくるのです。
パッケージは、ヘリコプターで山頂に連れて行ってくれるイメージです。しかし、結果は、当初の目的は達成できずに、社長満足だけであったというケースが多いのです。
大切なのは、企業が成長することであり、ITを導入する事ではありません。まずは、自社の仕事で何処をどう改革したいかの目標を固め、ITコーディネータ(ITC)と共にIT戦略を策定し、着実に前進することをお勧めします。
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