いきなり、偉そうなお題目で、申し訳ありません。私は、その昔、短い期間でしたが、銀行で融資係を担当していた事があります。その体験から、皆様にお伝えしたいと思ってペンをとりました。
銀行は、お金を預かって、そのお金を、お金が必要な企業や個人に貸す。それが仕事です。銀行は、少しでも高い金利で、少しでも沢山融資して収益を得る。そんなビジネスモデルです。
(本来の金融機関の使命とはちょっと違いますが……)
借り入れ理由は何が一番多いでしょうか。個人でお金を借りる理由の第一位は、住宅ローンではないでしょうか。家を持つ事が、社会人としてのステータスである!私の親世代は、本気で考えていました。私事で恐縮ですが、そんな親の気持ちに押し切られて、私も住宅ローンを組み、家を建てました。
「金持ち父さん、貧乏父さん」という本をご存知でしょうか。「お金持ちの人は、資産にお金を投入するが、貧乏な人は負債に投資する」とあります。そして、個人の負債の筆頭が「家」であると言っています。
負債とは、持っているだけで費用が発生するものと定義されています。家は、固定資産税や修繕費、大きな家だと光熱費も余計に掛かります。持っているだけで費用が掛かる。すなわち、負債なのです。わたしも、どっぷりと負債につかり、それを完済するのにに30年近くかかりました。
あの、投資の神様、ウォーレン・バフェット氏は、今でも数十年前に買った小さな家に住んでいるそうです。家は見栄で持つものではなく、生活する場であるという信念なのでしょうね。
お金の形での負債、すなわち借金は、金利を支払わなければならないので、直感的に「負債だ!!」と気づきますが、それ以外、「負債なのか資産なのか」を考えません。だから、借金をして家(負債)を買う事になるのです。
しかし、家ならば、まだ色々と理由をつけて、実は資産なんだ!!と言えなくはないのですが、お金の使い方を知らない人(すなわち負債を買う人)の生活様式は、一定のパターンがあると言われています。
その代表が、快楽にお金を使う人です。パチンコや夜の繁華街、きれいな女性や男性のもてなしが忘れられず、ついつい繁華街に足が向く紳士や淑女。
また、不必要なものを買う人。「いつか使うだろう」「なんか気になるからとりあえず買っておこう」とものを買い漁り、結果、家の中がものだらけの人。たまに買ったものが値上がりする可能性もありますが、多くは「ゴミ」と化して処分するにもお金がかかります。
そして、一番厄介な人は、計画性のない人。自分の夢や計画を実現するために、安易に借金をする人が、一番ヤバいです。夜の街で散財するのも、いらないものを購入するのも、ある程度限界があります。
しかし、本人が正しいことをするつもりで借金をするときは、資金は沢山ほしい。銀行側も高金利で沢山借りてほしい。両者の思惑が合致して過大な額を借りてしまう。
そして、実際に自分の口座に多額のお金があると、自分で稼いだお金ではないのに、お金が沢山あると誤認して気が緩み、本来の事業に精を出すよりも「営業」と称して時間を浪費する。気が付けば、資金は底をつき、返済できずに「破綻」する。しかも、事業性資金だから、借入金額も大きい。
資本金は、事業の為の資金であり、起業家の生活費を賄うためにあるのではないのです。
つまり、自身の生活費を賄うため(赤字を埋めるため)の借り入れは絶対に行ってはいけないという事です。借り入れは、支払う金利より資金が生む利益が多いと確信した時でないとしてはなりません。仮に、生活費が赤字なら、もっと稼ぐか、不要な支出を減らして、収入の範囲内で生活すべきです。
資産とは株式や金塊だけではありません。大切な友との絆を育むための時間に使うことも立派な資産への投資です。当然、自分の知識やスキルを向上させて、自身の「価値」を上げることへの支出も資産への投資といえます。
「勤勉さ」「誠実さ」「正直さ」があれば、無駄な負債への投資を防ぎ、豊かで幸せな生活が送れるものと信じています。
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